住宅ローンは、頭金を入れずに多めに借りるほうがお得って本当?

カテゴリー:ケーススタディー

最終更新日:2017年6月29日

住宅ローンは、「頭金を入れずに多めに借りると、住宅ローン控除で取り戻せる額が増えるのでお得」、という言葉をときどき耳にしますが、はたして本当でしょうか?今回はその疑問を検証していきます。

今回のご相談者

【相談内容】
4,000万円で、新築一戸建ての購入を検討しています。頭金は1,000万円用意しており、フラット35S(金利1年目~0.7%、11年目以降1.0%)を利用して、35年返済を予定していますが、「頭金を入れずに多めに借りるほうが、住宅ローン控除で取り戻せる額が増えるのでお得」、という話しを聞いて、頭金を入れるべきか悩んでいます。どのように返済計画を立てるべきでしょうか?

まずは、住宅ローン控除について簡単にご紹介します

住宅ローン控除とは、住宅ローン減税などと呼ばれたりもしますが、正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。住宅ローンを借りて住宅を購入した場合、一定期間(10年)にわたり、住宅ローン残高の1%に相当する金額の税金(所得税、住民税)が戻ってくるありがたい制度です(参考→住宅ローン控除とは?)。

<住宅ローン控除の概要(2017年6月現在)>
一般住宅 長期優良住宅
低炭素住宅
対象となる
住宅ローン
残高
4,000万円 5,000万円
控除期間 10年 10年
控除率 1% 1%
最大
控除額
(10年間)
400万円 500万円

住宅ローンを多めに借りれば、「住宅ローン残高が増えて、住宅ローン控除で取り戻せる額が増えるので、頭金を入れるよりお得なのでは?」という発想がポイントです。本当にこれが成り立つのであれば正しい情報と言えますが、実際はどうなのでしょうか。次の項目から3つの返済パターンを例に説明していきます。

前提条件として、購入する物件価格は4,000万円、住宅ローンはフラット35S(金利は、1~10年目0.7%、11年目以降1.0%)、返済期間は35年間、住宅ローン控除は、最大控除額が戻ってくるとします。

ケース1:頭金1,000万円、住宅ローン3,000万円の場合

4,000万円の物件を、頭金1,000万円、住宅ローン3,000万円で購入した場合、発生する住宅ローンの総支払利息は、35年間の合計で約473万円です。そして、住宅ローン控除の活用で戻ってくる額は、約258万円になります。473万円利息を支払い、258万円を取り戻したことになるので、「ケース1」の場合は、215万円が最終的に支払う利息になります。

住宅ローン
総支払利息
約473万円…①
住宅ローン
控除額
約258万円…②
最終的な
支払利息
約215万円(①-②)

ケース2:頭金0円、住宅ローン4,000万円の場合

では次に、頭金なしで購入する場合で計算してみます。住宅ローンは4,000万円になりますが、最終的な支払い利息はどうなるでしょうか。

住宅ローン
総支払利息
約630万円…①
住宅ローン
控除額
約344万円…②
最終的な
支払利息
約286万円(①-②)

4,000万円の住宅ローンから発生する総支払利息は、35年間で約630万円です。借入額が増えるので当然ですが、その分住宅ローン控除の額も増え、約344万円が戻ってきます。差し引きすると、最終的な支払利息は、286万円になりました。「ケース1」と比較して、住宅ローン控除で戻ってくる額は増えたものの、最終的に支払う利息で比較すると「ケース2」のほうが71万円も多く支払うという結果でした。

ここまでの検証結果から、住宅ローンを多めに借りれば、住宅ローン控除で戻ってくる額は増えるものの、住宅ローンの支払利息も含めてトータルで比較すると、多めに借りてもお得ならない可能性が高いと言えます。

ケース3:頭金0円、住宅ローン4,000万円、10年後に1,000万円繰上返済する場合

では最後に、頭金なし、住宅ローン4,000万円、本来頭金として入れる予定だった1,000万円を残しておき、10年後(住宅ローン控除期間終了後)に繰上返済するパターンで計算してみます。

住宅ローン
総支払利息
約630万円…①
住宅ローン
控除額
約344万円…②
繰上返済前の
支払利息
約286万円(①-②)
…③
10年後に
1,000万円
繰上返済
した場合の
節約利息
約223万円…④
繰上返済後の
最終的な
支払利息
約63万円(③-④)

上記の条件で繰上返済(期間短縮型)した場合、節約できる利息は約223万円です(返済短縮期間は110ヶ月です)。これを繰上返済前の支払利息から引くと、最終的な支払い利息は63万円になります。あくまで住宅ローン控除を最大限活用できるという前提ですが、はじめにご紹介した「ケース1」、「ケース2」とくらべると、かなり返済額を減らすことができました。

このように、住宅ローン控除をうまく活用すれば、住宅ローンをあえて多めに借りたほうがお得になるケースもあります。

ただし、注意点が2つあります!

今回ご紹介した例のように、住宅ローンを多めに借りて得をするには、そもそも以下の条件に当てはまる必要があります。以下の注意点を確認のうえ、返済計画を立てるようにしてください。

①利用する住宅ローンの金利が低いか

住宅ローンを多めに借りて、住宅ローン控除を最大限活用するには、利用する住宅ローンが低金利である必要があります。かんたんにご説明すると、現在住宅ローン金利は、1%を下回るような状況(金利タイプによります)なので、支払う利息より住宅ローン控除で戻ってくる額(住宅ローン残高の1%)のほうが多くなるということです。逆に、金利が高くなれば、得られる効果は少なくなります。

②住宅ローン減税を最大限に活用できる税金(所得税、住民税)を納めているか

住宅ローン控除はあくまでも支払った税金が戻ってくる制度です。例えば、住宅ローンの残高が4,000万円ある場合、40万円の税金が戻ってくる権利はありますが、そもそも40万円の税金を支払っていない場合は、当然お金は戻ってきません。ご自分の年収からどれくらい税金を納めているか、事前にしっかり確認しましょう。

☆条件に当てはまれば、複数の返済パターンをシミュレーションしてみましょう!

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