夫婦共働きで、収入に余裕がある家庭の住宅ローン返済について

カテゴリー:ケーススタディー

最終更新日:2017年5月12日

このページでは、「夫婦共働きで、安定した収入がある家庭の住宅ローン返済について」ご紹介します。今は経済的に余裕があるかもしれませんが、今後も同じ収入が続くという保証はありません。住宅ローンは、将来の生活の変化も見すえたうえで、返済方法を考えることが大切です。あるご相談者の例をあげて、わかりやすくご説明します。

今回のご相談者

【相談内容】
夫婦共働きで収入に余裕があります。そのため、住宅ローンをできるだけ早く返済したく、20年返済で考えていますが何か問題はありますか?

短い返済期間の設定はオススメできません

住宅ローンを早く返済したいという気持ちはよくわかります。しかし、このご夫婦の場合、極端に短い返済期間の設定はオススメできません。返済期間を短く設定すればするほど、住宅ローンの支払利息が確実におさえられるのは事実です。しかし、当然ながら毎月の負担額が大きくなります。下の返済期間と支払い利息の比較表をご覧ください。

<借入額3,500万円、金利1%(全期間固定)、ボーナス払いなしの場合>
返済期間 毎月の返済額 総支払利息
20年 161,000円 約363万円
35年 98,800円 約649万円

返済期間を20年にした場合と35年にした場合を比較すると、毎月の返済額が約6万円違います。20年返済を選択すれば、35年返済の場合より毎月約6万円多く返済していくことで、結果として利息を約286万円(649万円-363万円)節約できます。しかし、これだけの節約効果が得られるとしても、この夫婦の場合は返済期間を20年と短く設定することはオススメしません。それはなぜかというと…

5年後、10年後の生活を考える

現在この夫婦は、共働きで働いているため、毎月の返済額が月々約16万円でもしっかりと返していける十分な収入があります。しかし、5年後はどうでしょうか?10年後は?「子供が生まれる」、「奥様が育児に専念する」、「仕事復帰しても時間短縮で収入が大きく減る」、「子どもの教育資金がかかる」、「子どもの習いごとにお金がかかる」、などなど、現在の状況と大きく変わる可能性があります

そのような生活の変化を考えたうえでの返済計画になっているでしょうか?今と同じだけの収入を5年後や10年後も維持できるでしょうか?家族が増えたとしても今と同じ生活費でやりくりできるでしょうか?

さらに、ただ“ローンを返済していける”だけなのか、“ローンを返済しながら必要な貯蓄もできる”のかは大きくちがいます。この夫婦の20年後を考えてみてください。家族状況はどうなっていますか?もし子供がいたとすると何歳くらいになっているでしょうか?

教育資金がいくら必要か知っていますか?

例えば、子どもの教育資金の一番の難関は大学だと言われています。私立大学4年間の学費は一人当たり約600~700万円です(出典:株式会社日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果 平成26年度」)。通学にかかる費用や下宿代など考えるともっと必要でしょう。住宅ローンはなんとか20年で返済することができたとしても、その代償として「貯金がほとんどなく、子どもの大学費用が準備できなかった」、という状態になってしまったらどうしますか?

もちろん家族それぞれの方針や価値観があります。大学費用の負担は考えてない、奨学金等でまかなう予定、という夫婦もたくさんいます。もちろん間違ってはいません。でも、大学の学費を親として準備してあげたい、と考えるのであれば、一人当たり最低約600万円(私立大学の場合)の学費を貯蓄しなければなりません。

しかもそのお金はいつ必要になりますか?時期も決まっています。子供が生まれてから大学に入学するまでの期間に準備しなければいけません。それも住宅ローン返済と同時進行で、です。

優先すべきお金の使い道をハッキリさせましょう

20年で住宅ローンも完済し、子どもの教育資金もしっかりと準備する、これが同時にできるのであれば一番よいでしょう。でも両方の達成がむずかしいのであれば、優先順位を決めなければなりません。優先すべきお金の使い方はどちらでしょうか?住宅ローンの支払利息をおさえることなのか、子どもの教育資金を準備することなのか、優先順位をハッキリさせれば、返済期間をどのくらいに設定すべきかを決められるはずです。

もちろん住宅ローンの支払利息をできるだけおさえるという意識は大切です。返済期間を短くすれば利息がおさえられるのは事実ですので、“返済期間の設定”は実際に重要なポイントであることは間違いありません。しかし、返済期間を短く設定すればするほど、その代償として毎月の負担額が大きくなることも事実です。

今後、生活の変化にともない支出が増えたとき、「それにたえられる収入が安定して20年間継続できるかどうか?」、「教育資金などの貯蓄は大丈夫か?」ということに注意しなければなりません。それができるという確信が持てるのであれば、20年返済を選択しもよいでしょう。そうでなければ、もう少し返済期間を長く設定して様子を見るべきです。

計画的に繰上返済を活用しましょう

それでも、「利息を払うのはもったいない!」と思う人はたくさんいます。その場合こんな方法を検討してはどうでしょか?計画的な繰上返済の活用です。下の表をご覧ください。返済期間を20年にした場合と35年にした場合の毎月の返済額は約6万円(161,000円-98,800円=62,200円)、年間で約72万円(6万円×12ヶ月=72万円)ちがいます。35年返済を選択し、状況に応じてこの差額の72万円を繰上返済にあてたらどうなるでしょうか?

<借入額3,500万円、金利1%(全期間固定)、ボーナス払いなしの場合>
返済期間 毎月の返済額 総支払利息
20年 161,000円 約363万円
35年 98,800円 約649万円

例えば、10年後に720万円(72万円×10年)、20年後に720万円(72万円×10年)を、期間短縮型の繰上返済に全額あてたとすると、どのような効果が得られるでしょうか?当初35年返済だった返済期間が21年2ヶ月に短縮されます。更に約649万円支払うはずだった利息が約447万円に軽減されます。

<返済期間35年、借入額3,500万円、金利1%(全期間固定)、ボーナス払いなしの場合>
返済期間 毎月の返済額 総支払利息
繰上返済しない場合 35年 98,800円 約649万円
繰上返済した場合 21年2ヶ月 98,800円 約447万円
繰上返済の効果 – 13年10ヶ月 変化なし – 約202万円

もちろん、最初から20年返済を選択する場合とくらべれば、条件はよくないです。ただ、手元にお金が残ることにより、“貯蓄しておく”のか“繰上返済にあてる”のかを、選択できるメリットがうまれます。様子を見ながら、家計に余裕があり将来も安泰と判断できた時点で繰上返済すればよいのです。

まとめ

現在の家計収支だけで判断するのではなく、将来の生活変化も見すえたうえで、無理のない範囲で返済期間を決めましょう。支払利息をおさえるために、状況を見ながら余裕資金を繰上返済にあてることで、結果的に返済期間を短縮し、利息を節約することができます。

☆将来のことを考え、無理のない範囲で返済期間を設定しましょう

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